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エッセイ

宮田大さんのチェロ・リサイタルを聴いて

心境著しい宮田大さん スズキ・メソードで育ったチェリスト、宮田大さんの素晴らしい音色が、日本中を沸かせています。2011年10月9日にBS朝日で放映された「カルテットという名の青春」で、宮田大さんが所属するジュピターカルテットが紹介され、その番組でも生き生きとした姿を見せていたのをご覧になられた方もいるでしょう。
 11月1日(火)横浜青葉台のフィリアホールで開催されたチェロ・リサイタルにさっそくお邪魔しました。2009年11月にパリで行なわれたロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール優勝後、活躍のフィールドが一気に拡大し、ブームが加速している宮田大さんの生を見られるとあって、ホールは華やいだ雰囲気に包まれていました。会場には、スズキ・メソードでチェロを学ぶ子どもたちも「先輩」の演奏する姿、その音を聴きに母親たちと駆けつけていました。指導者の先生方もたくさんお見かけしました。
 演奏は、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」から始まりました。最初の一音から紡ぎ出される音色の豊かさに、聴衆は魅了されます。まさに「つかみ」の極意でしょう。よく知られた名曲だけに感動させるのは大変な曲ですが、宮田大さんの演奏は抑揚と緩急、ボウイングの美しさが際立っていました。人間の声に近いチェロならではの、「歌心」満載の演奏でした。続くドビュッシーのソナタ、そしてポッパーのハンガリアン・ラプソディと並んだ、まったく性格の異なる前半3曲を見事に弾き分けた力量に脱帽しました。どちらもロストロポーヴィチ・コンクールでの課題曲。思い入れの歴史も並大抵ではないはず。でも宮田大さんの演奏は、会場をほぼ埋め尽くした聴衆の心に心地よさをもたらす彩りにあふれていました。大変な曲を演奏しているというよりも、よりシンプルに洗練された味わい、そんな感じです。
 休憩後の、R.シュトラウスのソナタ。作曲者19歳の時の作品は、25歳の宮田大さんにとって「今のうちに演奏しておきたい」曲の一つだったようです。you tubeではその映像が演奏とともに紹介されています。
 この日のアンコールは、4曲と「大」サービスでした。ピアニストの柳谷良輔さんとの呼吸もぴったり。「彼は、伴奏者ではありません。カナダ国籍を持つピアニストです」と最後に紹介し、その演奏ぶりを讃えていました。最初から腕まくりをし、情感たっぷりに手を振り上げるこのピアニストと宮田大さんの演奏は、さながら体操界のホープ、内村航平さんの動きを見ているようで、着地の見事さなど共通するものを感じさせたほどです。ますます楽しみになって来た宮田大さん。そして柳谷良輔さん。この日は、二人が軽井沢の大賀ホールで録音し、12月にいよいよ発売となる新譜CDが購入でき、しかもサイン会付きとあって、大変な行列ができたこともお知らせしておきます。
 なお、宮田大さんの2011年秋のチェロ・リサイタルは、この横浜公演以外にも次の公演がありました。
10月31日(月) 宇都宮公演(栃木県総合センターメインホール)
11月4日(金) 名古屋公演(宗次ホール)
11月7日(月) 大阪公演(いずみホール)
11月9日(水) 東京公演(サントリーホール ブルーローズ)※すでに完売
you tube R.シュトラウス
you tube 宮田大1st アルバム〜プロモーション映像


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